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あしあと

    第42回 作品紹介(26)『黄金審判』

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    前回紹介した『一弦の胡弓』に続き、次に「山形高等学校校友会雑誌」に作品が発表されたのは、昭和二年六月に刊行された第十四号で、『黄金審判』という作品でした。
    この『黄金審判』は、アイルランドの小説家であるロード・ダンセイニ作の戯曲を翻訳したものです。ダンセイニは、ファンタジー文学に大きな足跡を残し、また、ミステリーのジャンルでも高評を得た作家でした。小説だけでなく戯曲もいくつか書いています。『黄金審判』は、大正十年に刊行された「ダンセイニ戯曲全集」の中に、『金文字の託宣』というタイトルで収録されています。
    作品の舞台はゼリコンという国の王宮にある、触れるだけで死罪だという黒い鉄の門扉です。その門扉に「輪っかが欲しい」とお願いしに来た男の子が、仲良しの女の子の作った詩を門に書き付けて去ったのち、それを見つけた王宮の関係者たちは「星(神)からのお告げ」だと誤解します。詩の解釈を依頼された預言者たちは、それまで戦争や国を豊かにすることに明け暮れ、星(神)を祀ることをないがしろにしてきた王に対する警告だとし、王の誇りの象徴である王冠を門に供えます。誰も近寄らないようにという命令でしたが、夜になり先ほどの男の子がこっそり門の前に来て見ると、欲しかった「輪っか(王冠)」が置かれているのを見つけ、それで遊びながら去って行き幕が閉じます。
    前回と今回の二作品については、盛助は「新島守」のペンネームを使用しています。盛助の教え子の一人から、このペンネームの由来について次のようにお聞きしました。「旧制山高は新設校でした。新しい学校を島と例え、そこに学ぶ学生をしっかり守り教えていくぞ、といった意気込みが表れたペンネームだと思うのです。」と。

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