子を育てる
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十月十日(とつきとうか)を経てやっと生まれた命。医学が進歩していかなった昔は乳幼児の死亡率は高く、「七歳までは神の子」「七つ前は神のうち」といわれ、神仏がその運命を決めると考えられていました。七つを迎える帯解きの祝いまでにさまざまな儀礼を行い、神仏に感謝し、その後の無事な成長を祈りました。こうした儀礼は特に生後1年間に多く行われ、昔はこの期間の生育が特に困難であったと考えられます。昔の人は、子供の命はふわふわとした存在であり、一つ一つの儀礼を通して少しずつしっかりとかたまったものになるというとらえ方をしていたようです。
お七夜
生後7日目のお祝いです。ヒトシチヤともいい、親戚や近所の人がお祝いに来ます。アカノゴハン(うるち米とアズキ)を炊き、名づけをしたり、雪隠(便所)参りをしました。雪隠参りでは家によっても異なりますがオサゴ(洗米)とへその緒を半紙に包み、マメッカラの箸をつけて便所の窓のさんにさします。また、かまどの墨を額にちょっとつけました。こうすると子供が丈夫に育つと信じられていました。
宮参り
宮代では家によって異なりますが、21日目か33日目に宮参りが行われます。子供は実家から贈られた産着を身につけます。産着は一つ身の着物で背縫いがないため、背後から魔物が入るといわれ、背中に背守りをつけました。
食い初め
100日目の祝いです。子供に初めて尾頭付きの一人前の膳を用意して、米数粒を箸に乗せ、食べさせる真似をします。実際には離乳食も与えていない時期ですが、少しでも早く大きくなってほしいという願いが込められています。
初節供
初めての節供には実家や親戚から女児には桃の節供に雛人形や浮世人形、男児には端午の節供に五月人形や鯉幟等が贈られます。節供当日には贈ってくれた人を招き、共に祝います。
初正月
初めて迎える年の暮れに実家から、男児には弓破魔、女児には羽子板が贈られます。
初山
※当ページは、初山等の由来をご説明するもので、初山に関するお問い合わせはお受けしておりません。
初めての7月1日(富士山山開きの日)には初山といって近隣の浅間神社にお参りします。宮代町内では山崎の赤松浅間社、辰新田の浅間神社、和戸の浅間神社でこの行事が行われています。お参りを済ませるとうちわ二本とお札とたんきり飴などを買って帰り、親戚や近所の人など、産見舞をくれた人に配りました。
初誕生
初めての誕生日に一升餅をついてお祝いしました。この日までに歩いた子はこの餅を背負わせ、上手に歩いた時はちょっと転ばせたりしました。
帯解き(七五三)
帯のついた子供の服から本断ちの着物になるということで七歳のときにお祝いをしました。現在の七五三と同様に鎮守様へお参りし、親戚を招いてお祝いしました。
お七夜の雪隠参りの供え物
妊娠中、便所掃除をよくするときれいな子が生まれる.便所の神様は美人だからだ。」という伝承があります。便所の神様はお産の神様でもあり、その御礼として、また今後の無事な成長を祈って便所に参ります。子供をつれていくのはお産婆さんや姑などです。産婦はトコアゲ前で外には出られないので同行しません。便所ではオサゴやへその緒を半紙で包んでマメッカラ2本の箸を付けて窓のさんにさします。
宮参りの産着
姑が子供を抱いて、その上に掛けるのでカケギモン(掛着物)ともいわれます。背中に縫い取りがあり、背守りといわれます。背縫いのない一つ身の着物には魔物がくるので、子供を守るために縫い付けられたものです。展示の男児の産着は夏の絽の着物で、女児の産着は銘仙です。いずれも昭和10~20年代のものです。
初節供
お雛様は実家から、浮世人形は親戚から贈られました。浮世人形は明治から昭和にかけての流行のようです。また、写真の鯉幟は昭和16年に百間2丁目付近で撮影されたものです。鯉幟の先端に竹かごがついています。
初山のお札・うちわ・たんきり飴
現在町内の赤松浅間社と辰新田の浅間社で初山に配られるお札と、昭和25年の初山のうちわです。初山のうちわには富士山を背景に子供が元気に遊ぶ姿が多く描かれています。
夜泣き封じ
夜泣きを治すためにお札をいただいてきました。また、おしめを夜、外に干すと夜泣きになるともいわれました。
百日咳
白岡町白岡にある石神様は百日咳を治す神様とされています。いしがみさまの「いし」が「せき」に転訛し、「せきがみさま」として信仰されるようになったそうです。ここでは百日咳になると供えてあるしゃもじをいただいてきてご飯を盛って食べます。治るとしゃもじに口の字を百個書いて奉納しました。宮代町では百日咳の神様は未確認ですが、調査を進めていきたいと思います。
お問い合わせ
宮代町役場教育推進課文化財保護担当(郷土資料館)
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ファックス: 0480-32-5601
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