桐たんす
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歴史
春日部の桐たんすは江戸時代に日光東照宮の造営にあたった工匠が当時桐が豊富にあった春日部に滞在し住み着いたことに始まるといわれています。春日部は現在、静岡県藤枝市、新潟県加茂市とならぶ三大産地の一つです。隣接する宮代町でもかつては多くの桐たんす職人がいました。昭和2年の記録をみると百間村に25軒の桐たんす職人がいました。それらの職人の多くは木地屋として農閑期に桐たんすを作っていました。
みやしろの桐たんす作り
木地屋は製材屋(板屋)から板を仕入れ、木取りし、たんすを作る。磨いて、金具を取り付けるといった仕上げは春日部の仕上げ師が行う。ただし削り直しのたんすは仕上げまで行っている。
素材
- 桐
桐は軽くて木目が美しく、燃えにくく、多湿のときは水分を吸い、乾燥時は水分を出す性質がある。桐たんすに用いる桐は会津など福島以北の寒い土地で育ったものが堅くてよい。昭和初期までは宮代でも女児が誕生すると桐を植えて婚礼の桐たんすとして加工したが、柔らかすぎて木目も粗く適さない。その場合は前板に会津産の桐を張った。 - くぎ
柏市豊四季で生産されたウツギのくぎを用いる。長さは3寸、2寸5分、2寸、1寸5分がある。ウツギのくぎはホウロクで炒って水分を飛ばし堅くして使う。
道具

組み立ての道具 ケヒキ

組み立ての道具
写真左からウズクリ、ハケ、ロウ
製品

下三大洋
桐たんすも時代とともに流行があり、現在は二つ重ねで間口が広く、羽織をたたまずに収納できるものが主流である。下三とはシタダイに引き出しが3杯、大洋とはウワダイが扉のものをいう。
製作工程

木取り
一棹分の材料を各部の寸法に合わせて切る。昭和30年ころから電動ノコが普及したため、まっすぐに切ることができるが、昔はナタで切ってからカンナをかけたので難しく、時間もかかり、一棹分の木取りに一日かかった。木取りは桐の節をよけながら効率よく行っていく。桐たんすに用いる板は何枚かの板を組み合わせて作るため木取りしながらコバ〔板の側面〕にその部分をしめす印をつける。

板焼き
火鉢に火を起こし、板のまがりやゆがみをあぶりながら直す。一棹分で2~3時間かかる。厚い板を焼く時は柱に打ち付けてあるサンにかけ、10センチ程の板を支点にして体重をかける。薄いものはひざで直す。

板削り
たんすの部分ごとにわけ、自動ガンナにかけ、板焼きで付いたすすや板の汚れをとる。昔は手でカンナをかけた

板はぎ
ご飯ひとつかみ分をダイに乗せ、ウツギのノリボウで練ってのりを作る。あわせる板を並べ、バッテンと数字で印をつける。手押しガンナでコバを削り、のりをつけ、ハタガネで押さえる。晴れていれば1時間で乾く。

ハバキメ[キリマワシ]
実際に使う寸法にあわせて機械(マルコバン)で切る。
組み立て

ア.カンナをかける
機械(超仕上げ)に通し、板全体にカンナをかける。部分的に逆目が立つので手でカンナをかけて滑らかにしていく。

イ.ホゾを切る
テンイタとガワイタなど板を組む。ホゾを入れる線を書き、ケヒキでテンイタの厚みを計り、それをガワイタに印する。ガワイタに切り込みをいれ、機械(ジグソー)で切る。昔はマワシビキを使った。ホゾの形はたんすの部分によっても異なる。アリホゾといって鋭角にホゾを切る方法が洋家具の影響でここ数年増えてきた。くぎを使わなくても強度があるため、ヒLダシの前板とオクユキをとめるのに用いる。
ウ.ホゾザライをする
ホゾを切ったあと、クリコガタナでホゾの面を滑らかにする。

エ.組み立て
のりをホゾにつけ接着する。穴をあけ、くぎを打つ。タナイタの奥に切り込みを入れ空気穴を作り、ヒキダシの開け閉めがしやすいようにする。同様にしてシタダイ、ウワダイを組み立てる。ヒキダシやオボンを内寸にあわせて削りはめ込む。

仕上げ削り
たんすの外側、ヒキダシなどすべてにカンナをかけて仕上げる。

仕上げ
トノコとヤシャエキをまぜて作った液で色つけする。次に木目を際立たせるためにウヅクリで磨く。ろうで丁寧に磨いていく。
お問い合わせ
宮代町役場教育推進課文化財保護担当(郷土資料館)
電話: 0480-34-8882
ファックス: 0480-32-5601
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