01 相給について・百間村の相給
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はじめに
近世初頭期、宮代町域には百間村をはじめ久米原村、和戸村、国納村、須賀村、蓮谷村の6ケ村があったが、その後の分村の状況や相給などにより、そのエリアは複雑であったといえる。それは相給となった時代やその前段階の組の存在などによって、その錯綜した状況に違いがある。ここでは、百間村、久米原村、国納村、和戸村の状況を村別に分析した後に年代的に分析し、その相給のエリアが時代的にどのような影響があるかについて述べてみたい。
執筆 宮代町教育委員会 河井伸一
相給とは?
1つの村に複数の領主が支配することを相給と呼ぶ。また、3人以上の領主がいる場合、それぞれ、「三給」「四給」「五給」と呼ぶこともある。
宮代町域では百間村が三給(元禄10年の分村以前の百間村では五給)、須賀村が三給、久米原村が四給、和戸村が二給、国納村が三給となっており、非常に錯綜とした状況を読みとることができる。
百間村相給の年表
文禄元年(1592)服部政光に百間領3,000石を与える。(百間村分2,400石)
慶長20年(1615)服部政信、父の跡を継ぐ。
元和5年(1619)服部氏、百間から離れ、遠州敷智郡へ移封。
元和5年(1619)百間領5,000石検地。
寛永元年(1624)旗本朽木氏(1,000石)、旗本永井氏(700石)、旗本池田氏(700石)に分割。
寛永16年(1629)旗本朽木氏移封。百間村、天領となる
元禄10年(1697)百間村、百間村(天領)と百間東村(旗本永井氏)、百間中島村・百間中村(旗本池田氏)に分村。
元禄10年(1697)天領の百間村の一部、岩槻藩領となる(後の百間西原組、百間金谷原組)。
元禄16年(1703)残された天領、久喜藩領となる(百間本村)。
正徳元年(1711)岩槻藩領は天領に戻る。
享保10年(1725)天領の一部、旗本森川氏の支配となる(百間西原組)。
元文元年(1736)残された天領、旗本松波氏の支配となる。(百間金谷原組)
宝暦13年(1763)久喜藩領の百間村、佐倉藩領となる。この時、久米原村の一部と蓮谷村も佐倉藩領となる。
百間村の相給
百間村は元々1村であったが、支配した領主の関係や村の大きさなどから組支配が江戸時代初期より行われており、元禄10年正式に4ケ村(百間村・百間東村・百間中村・百間中島村)に分村したことから、村の分布範囲が複雑化した。新編武蔵国風土記稿には「あたかも碁石が散布したごとく」とあるくらいである。その後、百間村は領主の関係から事実上、百間村(百間本村)・百間西原組・百間金谷原組に分かれていた。
百間村(百間本村)は字宿と字川島を中心に、百間西原組は字山崎、字西原、字台越、字内野を中心に、百間金谷原組は字金谷原を中心に、百間中島村は字道仏、字中須、字若宮を中心に、百間中村は字西と字前原を中心に存在する。一方、百間東村は字東から字中洲島、字柚木、字松ノ木島に至る、最も多くの面積を要していた。現在の川端・宮東地区は百間東村を中心に百間中村、百間西原組などが見られ錯綜した状態であった。これらの百間各村は中心集落にある程度纏まり、縁部へ開発していった結果、中心集落以外の場所に各村の飛地が多く分布するようになったと推定される。これらの分布状況は百間村が1村であった頃の組支配と関係があると推定される。
百間村については、元和5年(1619)の検地の後、寛永元年(1624)に旗本永井氏・池田氏・朽木氏に三分されたことと関係があるのだろう。しかし、旗本池田氏の百間村は、道仏村(百間中島村)や西村(百間中村)などと私称しており、この当時から、組が組織されていた可能性を示唆する。「溜沼争論絵図」(折原家文書)にも、天領の百間村(元旗本朽木氏知行地・後百間三組と称せられる)内に後宿村・西原村・金谷原村・平島村などが見られる。さらに、元禄11年の「新御水帳書抜百姓一人別名寄帳」(折原家文書)によると源太左衛門組と金谷原小兵衛組が、享保9年(1724)の「年貢割付状」(新井家文書)にも半兵衛組が確認できる。さらに、百間西原組は上組と下組に分かれおり、百間金谷原組内にも平島組があった。
元禄10年の「百間村検地帳」(折原家文書)によると、源太左衛門、小左衛門、十右衛門、半右衛門、伊左衛門の五人の名主が案内人として見られる。これらの名主単位で組が組織されていたと推定される。組は江戸時代初期から存在し、検地により土地一筆一筆が確定された後、各領主に領地が按分された。村内における以前の組の存在が、百間村の相給の状況に影響したと推定される。
第1図 元禄10年分村以前の百間村
第2図 元禄10年分村以後の百間村
第3図 百間村(百間本村)
第4図 百間西原組
第5図 百間金谷原組
第6図 百間東村
第7図 百間中村
第8図 百間中島村
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