第48回 「盛助」を語る(2)
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盛助の授業は「他の先生方とは全く違っていた」と答える教え子の方々が、実に多くいました。。何が違ったのでしょうか。前回に引き続き、藤島氏のお話の中から、授業風景について紹介します。
『先生の授業は、生半可な予習ではまったくついていけなかった。先生が英文を翻訳していくと、あたかも初めから日本語で書かれていたかのように、滑らかな美しい文章になっていた。教科書を翻訳するのに、辞書にある言葉をつないだだけでは、先生の翻訳と同じになることはなかった。だから予習の手を抜くと、先生が訳している部分がどこなのか、まったく分からなくなってしまうことも多かった。そうなるともう同級生達は大騒ぎになってしまい、成績の良い友人のところに行って教わり、試験勉強用にノートをまとめたりしたものだった。』『あるとき先生がTrickという言葉を「ケレン」と訳したことがあった。学生達にはこの言葉が分からず、ドイツ語の「ケルン」に響きが似ていることからドイツ語まで使い出したかとあわてて、当時ドイツ語の先生をしていた岡本先生のところに意味を聞きに行った。岡本先生は「ケレン」の言葉が出てきた経緯を学生達から聞き、それが日本で昔から使われている言葉の「けれん(外連)」であることを教えてくれた。調べたら、「ごまかし、はったり、うそ」といった意味を示す言葉であり、当然、当時使用していた英和辞典に「けれん」とは掲載されていなかった。先生の授業は総てがこんな感じだったので、予習には英語の辞書だけでなく、国語辞典なども使用しなければならなかった。』
単語一つを訳すにあたっても、それを意味するたくさんの日本語の中からよりふさわしい言葉を選び出していく、授業の風景からも盛助の言葉に対する姿勢や考え方がうかがえるようですね。
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