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あしあと

    発掘調査と遺物整理の方法

    • [初版公開日:]
    • [更新日:]
    • ID:2378

    宮代町教育委員会では、開発などで遺跡が破壊される場合、文化財保護法に基づき発掘調査を行っています。そして、記録保存を図ることで宮代町14,000年の歴史が明らかとなるのです。一般的に発掘調査を終了するとすべてが終了したように見えますが、ここからが大変な作業がまっています。遺跡を発掘したことによりたくさんの情報を私たち現代人に古代の人々が伝えようとしています。それらの情報が住居跡などの遺構や土器や石器などの遺物、採集した土や貝などを整理分析することで解明されるのです。ここでは、発掘調査や整理作業の方法の一部をご紹介します。

    発掘調査の方法

    1. 発掘調査予定地に調査区を設定し表土層(現代の人々が畑や田圃を行っていた層)をバックホーなどの重機で剥ぎます。
    2. 調査区全体に国土座標に基づいた杭を10m間隔で設定し日本国内のどこを発掘調査するのかを明確にします。
    3. ジョレンという道具で土の表面をきれいにし古代人が掘った跡を探します。宮代町では土の表面をきれいにすると赤土という関東ローム層が一面に出てくるわけですが、一部に黒いしみが見えることがあります。これが古代人の生活した跡である遺構(住居など)です。
    4. 黒いしみ状の遺構をベルト状に土を残しながら発掘します。ベルトは遺構の堆積状況を示す重要な情報を与えてくれます。たとえば、人為的な堆積であったなら墓などが、自然堆積であったら遺構が放置されて埋まったことが分かります。
    5. 堆積状況の写真や実測図を作成し、完掘したのち平面の写真や実測図を作成します。遺構ごとにこの作業を繰り返し行います。
    6. 土器や石器などの遺物が出土したらその地点の記録を取り、出土場所の明記をしたラベルをつけ取り上げます。これで遺物が発掘調査区のどの場所から出土したものかを明らかにします。
    7. 最後に地形の測量をし全景の写真や航空写真をとり埋め戻しが完了したら終了です。この後、発掘調査以上に大変な作業である整理作業がまっています。
    鋤簾がけのようす

    鋤簾がけ

    写真

    遺構検出作業

    整理・報告書作成の方法

    1. 発掘調査により出土した土器や石器はブラシ等で水洗いを行い、乾いた後、注記作業を行います。注記とは土器に遺跡名や年度・調査地点・出土遺構名などを暗号化し記すものです。すべての土器等に暗号化した文字を小さく記載します。土器1片をみれば、どこの遺跡のどの遺構から出土したものかわかるようになるわけです。
    2. グリッドや遺構単位で分類を行い、周囲の土器とあわせて接合作業を行います。接合の後、ある程度形になるものについては、石膏で土器のない部分を補充し復元作業を行います。
    3. 接合した土器片の拓本をとります。これにより土器の文様をはっきり出すことができます。また、断面実測作業も平行して行います。拓本と断面実測図はセットにします。石膏により復元した土器は実測作業を行います。文様によっては展開図を作成することもあります。また石器の実測作業も行います。これらの図をトットリング(製図ペン)によりトレースします。
    4. セットになった拓本と断面図や土器実測図は遺構単位等で図版を組みます。
    5. 一方、現場で作成した平面図や全測図は鉛筆トレースをし、平面図と土層図、断面図等をセットにし第2原図を作成します。その後、製図ペンでトレースを行います。
    6. 遺構図についても図版を組みます。
    7. 遺構図版・遺物図版や実物の土器から執筆作業に着手します。執筆終了後、報告書の割付作業に入ります。併せて遺構写真の選び出しや遺物写真撮影を行います。
    8. 報告書が完成すると発掘調査がすべて完了したことになります。
    土器洗浄作業のようす

    土器洗浄作業

    土器実測作業のようす

    土器実測作業

    データ分析・執筆作業のようす

    データ分析・執筆作業

    石膏により復元された土器の写真

    石膏により復元された土器

    お問い合わせ

    宮代町役場教育推進課文化財保護担当(郷土資料館)

    電話: 0480-34-8882

    ファックス: 0480-32-5601

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