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あしあと

    03旅の道具

    • [初版公開日:]
    • [更新日:]
    • ID:2413

    江戸時代の庶民の旅は自分で荷物を持って歩き、身の回りのことはすべて自分でするというものでした。江戸後期の明和期に刊行された「細見道中記」に記された道中の所持品を見てみると『矢立、扇子、針、糸、懐中鏡、日記手帳、櫛、鬢付油、提灯、ろうそく、火打ち道具、つけ木、麻綱、印判、手ぬぐい、湯手ぬぐい、鼻紙、道中記、大財布、小財布、巾着、さすが(細工用の小刀)、耳かき、きり、小そろばん、風呂敷(大・小)薬、合羽、笠』とあり、この他『脇差、頭巾、股引、脚絆、足袋、甲掛け、下帯、小硯箱、秤、煙草道具、弁当』と記した道中記もあります。これだけのものを持ち歩くためには、できるだけ小さく軽くなるよう工夫し、それらを腰に下げたり、行李に入れて振り分け荷物にしました。清次郎さんの旅は約2ヶ月半。一世一代の大旅行であったことがわかります。

    弁当箱・腰杯・酒入れの画像

    「食べる・飲む」
    弁当箱・腰杯・酒入れ

    御札入れ・懸守の画像

    「道中安全」
    御札入れ・懸守

    ろうそく入れ・提灯の画像

    「あかり」
    ろうそく入れ・提灯

    化粧道具の画像

    「装う」
    化粧道具

    煙草入れ一式・煙草入れの画像

    「ちょっと一服」
    煙草入れ一式・煙草入れ

    巾着・印籠・早道の画像

    「入れ物」
    巾着・印籠・早道

    旅枕・胴乱付き枕の画像

    「眠る」
    旅枕・胴乱付き枕

    • 印籠
       丸薬などの持薬や応急の薬を入れて腰に下げました。漆細工の工芸品で、三つ重ねか、五つ重ねです。
    • 早道
       小銭入れのことで、財布より早く小銭を取り出せることからこのように呼ばれるようになりました。上部の、円柱形の金属部分に小銭を入れます。
    • 御札
       道中安全を願って小さな御札を身につけて旅をしました。この池鯉鮒(ちりゅう)大明神の御札はマムシ除けのご利益があると信じられていました。
    • 煙草入れ
       キセル入れ、火打ち金と石が入った袋、火口(ほくち)入れ、煙草入れの四つを一緒にして、根付をつけて腰に下げられるようになっています。火口とは、火打ち金で起こした火を移して火種にするものです。また、少しでも軽くするために煙草入れは紙をこよりにして編んだものです。
    • ろうそく入れ
       灯りのためのろうそくです。早朝の出発や、日没後の到着などがあり提灯とろうそくは必需品でした。また、ろうそくは宿に着いてから道中日記などの書き物をするときにも用いました。
    • 胴乱付き枕
       胴乱とは、長方形の箱型の入れ物です。胴乱付き枕はお金などの大切な携帯品を入れて枕にするもので、防犯上、最も安心な枕でした。
    • 腰杯
       旅の途中、涌き水などでのどを潤すために腰に下げていた杯です。
    • 行衣
       江戸時代の旅は信仰の旅でもあります。このような行衣を着て参拝し、背の部分に宝印をいただきました。
    • 化粧道具
       旅とはいえ、身だしなみとして女性は化粧をしました。この化粧道具入れには、おしろいの他、鏡、血止め薬、扇子の形に畳んでしまえる楊枝と耳かき(裏は爪やすり)、丸薬入れ、裁縫道具にいたるまで、コンパクトに収納されています。一つ一つが小さな袋に入り、また、漆細工が施されるなど伝統工芸の美しさを知ることができます。
    • 引札
       旅館の案内や開店披露などの広告の札です。
    • 道中案内
       宿場の名称や距離、名所旧跡など旅のみどころを記したもので、現代でいうと携帯用の旅のガイドブックです。
    • 道中日記
       この道中日記は、百間源太宿の清次郎さんが、天保12(1841)年1月25日から3月12日にかけて西国巡礼の旅に行った際、記した日記で、行った場所や宿賃、川渡賃などが詳しく記されています。この展示を見ていただくと清次郎さんの旅のルートが詳しく分かります。
    • 旅行用心集
       この本は旅に行く際の必要な物や、いろいろな注意事項が詳しく記されています。
    • 往来手形
       これは、菩提寺や領主から出されたもので、旅に行く理由や人数などが記されています。この往来手形がないと関所を通過することができなかったため、旅の必需品でした。
      往来手形にはいろいろな種類があり、領主が発行したものや名主や檀那寺が発行したもの、宛所も諸国関所番衆中や特定の関所の番衆中などがあります。上の往来手形は檀那寺が発行したもので宛所も諸国関所番衆中となっているため、どこの関所も通ることができました。下の往来手形は東粂原村の領主旗本細井氏が発行したもので、宛所は箱根関所番衆中となっているため、この往来手形では箱根関所しか通ることができませんでした。
    引札の画像

    引札

    大和めぐりご案内の図の画像

    大和めぐりご案内の図

    旅行用心集の画像

    旅行用心集

    往来手形の画像

    往来手形

    • 懸守り
       旅には危険が伴うため、護符であるお守りを守り袋などに入れ、持ち歩きました。
    • 巾着
       口を紐でくくるようにした袋物で、お金やお守り、薬など小物を入れる道具として使用しました。現代でいえばポシェットのようなものです。
    • 矢立
       墨壷に筆を入れる筒をつけた筆記用具で、道中日記などを書くため、旅の必需品でした。
    • 女性用の煙草入れ
       女性用のキセル入れです。江戸時代のおしゃれ感覚がうかがわれます。
    • 火打ち道具
       火打金や火打石、火口を収納した袋状のもので発火具として旅に持って行きました。火打金と火打石を叩き火花が散ったところに火口(チガヤやガマの穂に硝煙を加えたもの)を添え、火を大きくして使用しました。現代のマッチやライターのようなものです。
    • 提灯
       携帯用の提灯のため、非常に小型に作られています。懐中提灯とも呼ばれています。
    • 旅枕
       旅に用いた折りたたみ式の携帯枕です。
    • 道中日記
       旅に行った際、書かれた日記で通った宿場や村の名前、距離、神社仏閣などの名所旧跡などが記されています。左の道中日記は百間西原組の人により文化3(1806)年に書かれた西国三十三箇所巡り、中央の道中日記は百間村(本村)の人が弘化3(1846)年に東北地方に行った際記したものです。

    お問い合わせ

    宮代町役場教育推進課文化財保護担当(郷土資料館)

    電話: 0480-34-8882

    ファックス: 0480-32-5601

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